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17歳で渡された青い錠剤、「闇は、まだ広がっている」 旧東ドイツ・ドーピング被害者の告白

17歳で渡された青い錠剤、「闇は、まだ広がっている」 旧東ドイツ・ドーピング被害者の告白

旧東ドイツ陸上選手のイネス・ガイペルさん=神谷毅撮影

 ドーピングの国家計画が行われていた旧東ドイツ。そのプログラムに組み込まれた選手は1万人超ともいわれています。現在、ドーピング被害者を支援するイネス・ガイペル(56)もまた、被害者の一人でした。(GLOBE編集部、神谷毅)

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支援事務所にかかる匿名の相談

 ドイツ・ベルリンにある、旧東ドイツのドーピング被害者を支援する団体の事務所。ガイペルが相談の電話を取ると、何も言わずに切れることが多い。まれに話し始める相手がいても、名前を明かさない。

 共産主義東ドイツ自由主義の西ドイツを隔てる「ベルリンの壁」が崩れ、東西ドイツが統一されて四半世紀がたった今も、彼女はこう感じている。

 「闇は、まだ広がっている」

17歳で陸上代表 渡された錠剤

 自分も、かつてはその中にいた。ただ当時は闇だと気付かなかった。

 17歳で陸上選手として国に選ばれ、トレーニングを始めた。すぐに青い錠剤をコーチからもらう。他の選手は10歳前後から飲み始めることが多かったその錠剤を渡しながら、コーチは「まだ遅くはないから『医療プログラム』に入れるよ」と言った。
 
 これが「ブルーピル」と呼ばれる経口トリナボールであることは後から知った。男性ホルモンを増やし、筋肉を強くする薬だ。

「閉鎖的な国から出たかった」

 東ドイツが夏の五輪で取った金メダルは、1968年のメキシコから88年のソウルまでで153個と西ドイツの3倍近かった。その裏ではドーピングの国家計画が行われていた。スポーツを使って社会主義体制の威信を高めるためだ。

 記録は面白いように伸び、400メートルリレーでは世界記録を出した。

 「勝つことだけを考えていた。東ドイツの選手たちはパリやローマなどの外国に行きたくてがんばっていたんです。閉鎖的な国から出たかったから」

秘密警察と選手生命の終わり

 トップ選手の仲間入りをしたガイペルは、練習で訪れたメキシコで現地の男性と恋に落ちる。彼が住む米国ロサンゼルスに何とかして行くから、一緒に逃げようと話し合った。

 帰国後、このことを隣の家の男性にうっかり話してしまった。のちに彼は秘密警察だったことが分かる。ある日、詳しい原因は分からないが腹部に痛みを感じて病院に行くと、盲腸炎なので手術が必要だと言われた。ずさんな手術の後遺症で選手生命は終わった。

 東西ドイツの統一後、関係者の暴露やメディアの追及でドーピングの実態が明らかになっていく。その中でガイペルは、秘密警察が作った自分のファイルを目にする機会を得た。「盲腸の手術」は故意に行われたと知った。

 

1万人を超える「人体実験」

 その後、ガイペルは文学を学び、今は作家と演劇大学の教授をしている。ドーピングを犯罪として問う裁判の原告にもなった。統一ドイツは2002年にドーピング犠牲者援護法をつくり、500万ユーロの基金から約300人が支援を受けた。今年6月にはガイペルらの活動もあって新たな法律ができ、約1000人が1人あたり約1万ユーロ(約110万円)を受け取ることになった。

 だが、ドーピングのプログラムに組み込まれた選手は1万人超ともいわれる。支援窓口に名乗り出られない人々は、旧東ドイツ市民からの「裏切り者」という批判や、今の生活への影響を恐れているのだ。

 「ドーピングは人体実験だった。でも昔の栄光がドーピングによるものだったと知らされたくない人が多い。栄光という、おとぎ話が好きなのです」

スポーツもスローがいい

 ガイペルは、今も国際的なスポーツイベントの後、街に国旗があふれるのは見たくないという。国とスポーツの結びつきが、かつての東ドイツを思い起こさせるためだ。しかし、スポーツそのものに失望したわけではない。

 「スローフードってありますよね? スポーツもスローがいい。ゆっくり自分らしく楽しめばいいと思っています」。そう言ってほほえんだ。

 

 

この記事は現実にドーピング被害にあった本人の話なので とてもわかりやすく信憑性がある

 

やはりオリンピックが代理戦争としての役割を果たしているという実態は少しも変わらない そして国家的に仕組まれた薬物中毒選手を製造しつづけるという なんとも悲惨な事実 彼女は人体実験だといっている そのおかげで400メートルの世界新記録もだしている

 

さらにその医療プログラムの実態を他人に話すことで 反国家主義とみなされ 選手生命を絶たれるという憂き目に合っている

 

薬物とオリンピック 80年代末まで続いた社会主義と資本主義という時の勢力地図の拡大を図る国によって ドーピング選手という被害者を作り出してしまったのだ

 

今回ロシアがドーピングの疑いが晴れないことを理由に陸上選手は全体が参加を見送られた しかし この東ドイツの実情をみるかぎり そのクスリによる影響力 国家による薬物促進という問題は 昔から持続してあったのだな という気がしている

 

いまはその表立っての二大勢力の対立は弱まったが その習慣は払拭しきれていないし 今も闇を落としているのである